ジョブディスクリプションとは【メリットや作成手順について解説します】

記事更新日:2022年09月12日 初回公開日:2022年09月08日

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勤務体系や働き方は国によって様々であり、特に日本と欧米ではかなりそれが顕著です。例えば、日本は未だに年功序列の給与の仕組みが主流な一方で欧米は実力主義。つまり欧米では仕事内容や役割などによって給与が決まります。このような違いは他にも多く存在し、その一例として欧米で主流で日本ではまだあまり知られていないジョブディスクリプションについてご紹介します。とはいえ日本ではグローバル化が進み会社でも外国人の採用が多く見られるようになりました。また、外資系企業の日本への進出とも相まって日本でも欧米の勤務スタイルが普及しつつあるため、活用の機会を見据えてジョブディスクリプションにおいても知っておく必要があるでしょう。是非人事担当者の方は本記事をご一読下さい。

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ジョブディスクリプションとは

職務内容が詳述された文書

ジョブディスクリプションは日本語で訳すと職務記載書であり、職務内容が詳述された文書のことを指します。具体的には、担当ごとの業務の内容や範囲や業務の難易度や負う責任の範囲、必要とされる能力などがまとめられています。必要とされる能力を具体的に示すために必要な資格が記載されていることが多いです。もともとは成果主義を基本的な仕事の仕組みとしている欧米を中心に用いられており、求人や人事評価の際に使用されます。

ジョブスクリプションが日本で使われにくい理由

職務内容を重視した雇用契約が少ない

ジョブディスクリプションが日本で使われにくい理由として職務内容を重視した雇用契約が少ないことが挙げられます。欧米と日本の勤務形態は大きく異なる傾向にあります。日本企業は基本的には就職後幅広い職務を担当するケースが多く、新卒ではいわゆるゼネラリストを理想とした人材の採用が主流です。一方で欧米は高度なスキルを持つ即戦力となる人材を採用することが多いです。これはジョブ型採用と言われ、スペシャリストの育成に適した採用方法です。こうした特性上特定の業務スキルを求めるためジョブスクリプションが重要であり、逆に幅広い業務をこなすのにさほど専門的知識を要しないため、日本ではそれが使われにくいと言えます。

ジョブスクリプションの利点

公平な人事評価をできる

ジョブディスクリプションの利点として公正な人事評価ができる点が挙げられます。業務の内容や目標が明示されているため、その基準に従って客観的に人事の評価をすることができます。人事の評価には評価制度と等級制度、報酬制度の3つの要素がありジョブディスクリプションを用いてこれらの基準を設けることができます。評価に公平感が生まれることで従業員はこれに納得できるため、結果的に会社の信頼感を高めることにつながります。

仕事の範囲がわかりやすい

ジョブディスクリプションの利点として仕事の範囲が分かりやすい点が挙げられます。ジョブスクリプションは仕事の範囲が事細かに記載されているため、自分がどのような仕事をすればいいのかが曖昧になるということが全くありません。仕事の範囲が明確であるということは、必ず誰かが仕事に範囲を有しているため、誰もしない仕事を余分に引き受け、残業が増えるという心配がなくなります。自分のやるべきことが明確な分目標も明確に定まるので、仕事に対するモチベーションも上がりやすいでしょう。

採用基準が明確になる

ジョブディスクリプションの利点として、採用基準が明確になることが挙げられます。求職者が求められる人材を把握する際には企業理念や自社のサイトなどで確認をすることができますが、それ以上にジョブディスクリプションを用いれば細かな業務内容や何を必要とされているのかを把握することができます。就職前と業務内容のイメージと入社後の実際の業務内容に差が生じないことでミスマッチの防止にもつながり、離職率の低下も期待されます。

専門家の採用や育成がしやすい

ジョブディスクリプションの利点として専門家の採用や育成がしやすい点が挙げられます。先に述べたようにジョブディスクリプションを用いた採用は基本的にはジョブ型採用です。一定のスキルを業務内容の中に組み込み、それに沿って採用後も進んでいくためスペシャリストの採用を行いやすいです。特に近年の日本では転職者が増えて中途採用が増加してきています。中途採用では前職でのキャリアやスキルが重要視されるため、その採用という点でジョブディスクリプションは役立つと言えます。

企業の訴訟のリスクを回避できる

ジョブディスクリプションの利点として、企業の訴訟リスクを回避できる点が挙げられます。ジョブディスクリプションを作成する目的として、業務内容や待遇を誰にでもわかりやすく可視化させるという目的があります。これらを社内で共有していることで配置や採用、待遇に関する差別的な問題を未然に防ぐことが可能です。また、不当と思われる対応もそれ相応の理由が前もってジョブディスクリプションに明示されていれば公平性を保つことになるので、訴訟が起こる可能性を下げることができます。

ジョブディスクリプションの欠点

仕事で臨機応変に対応できない

ジョブディスクリプションの欠点として、仕事で臨機応変に対応できないという点が挙げられます。業務内容や責任の所在までジョブディスクリプションによって決められているため、それ以外の仕事をするという意識が芽生えにくくなります。つまり、場合によっては会社内で非効率的に仕事をしてしまう恐れがあります。また、経済状況によっては会社の経営方針が変わることが考えられます。その際もジョブディスクリプションを採用している場合はすべての内容を書き換えなければならないという手間が生じます。さらに大きく事業内容が変わる場合には解雇をしなければならない可能性も出てきます。

総合職の育成が難しい

ジョブディスクリプションの欠点として、総合職の育成が難しい点が挙げられます。スペシャリストの育成には適している分、逆に幅広い業務領域を補完できる総合職の育成には向かないと言えます。しかし、たしかに総合職育成のためにジョブディスクリプションは向かないですが、総合職の人間は専門療育を浅く広く知っておく必要があるためその意味で他の専門職のジョブディスクリプションが役に立つと言えます。

ジョブディスクリプションを作る手順

職務情報を収集・分析する

ジョブディスクリプションを作る手順として、まず職務情報を収集・分析します。対象の職種について、実際に勤務している社員からヒアリングを行うことで仕事に関する情報を蓄積させていきます。情報は職務等級、責任や必要なスキルなど項目を予め用意しておき、それを明確にすることを意識すると情報がまとまりやすいでしょう。また、ヒアリングの際には客観性を考慮して複数人を対象に行うことが望ましいです。

情報の精査をする

ジョブディスクリプションを作る手順として、次に情報の精査をします。収集した情報を人事を中心に精査し、具体的な職務内容を決めていきます。その際には職務の細かい作業を一つ一つ定義していき誰が解釈しても同じ内容になるようにすることが重要です。その後、各項目を重要度や優先度、頻度の視点から考え数値化していきます。それらを整理することで勤務する側も何が重要かを理解して勤務をすることができます。

記載項目を確認する

ジョブディスクリプションを作る手順として、次に記載項目の確認をします。整理された情報をもとに、数値が正しいかや記載された情報と実際の業務に相違がないかを最終確認します。その際出来上がったジョブディスクリプションをその業務に従事している社員や人事、他の部署の人などに見てもらうことが重要です。複数の人による確認をすることで記載内容に曖昧な箇所がないかを見つけることが可能となり、客観性を担保することができます。

情報をもとに作成する

ジョブディスクリプションを作る手順として、最後に情報をもとに作成をします。精査した内容をもとにそれぞれの職務内容を箇条書きに記述していきます。理想的な文量はA4サイズ1枚に収まるくらいです。また、作成の際の注意点としては、先も述べた通り経営方針が変わる可能性のある以上ジョブディスクリプションも変わるかもしれません。よって、後のトラブルを防止するためにも但し書きとしてビジネスの状況に応じて変更する可能性があることを明示しておきましょう。

ジョブディスクリプションを用いる際のポイント

テンプレートをなるべく用いない

ジョブディスクリプションを用いる際の注意点として、なるべくテンプレートを用いないことが挙げられます。検索をするとたくさんのジョブディスクリプションのフォーマットが出てきますが、それらは多くの人が使用できる一般的な項目がほとんどであるため業務内容が抽象的になってしまう恐れがあります。ジョブディスクリプションを作成する場合は専門性に富んでいるものがほとんどであり、業務内容が適確かつ明確であるためにもテンプレートは用いずに独自性を持ったものを作る必要があります。ただし、記載される項目を参考程度にテンプレートで確認する分には良いでしょう。

内容を複数人で確認をする

ジョブディスクリプションを用いる際の注意点として、内容を複数人で確認する点が挙げられます。具体的には経営や人事、現場マネージャーや現場スタッフなどがそれにあたり、より多くの視点から内容を確認することで内容に客観性ができます。また、記載内容に漏れがないかを客観的に判断してもらうために関連部署からのチェックを受けることも重要です。また、その後内容が変わっていく際にも複数人で随時内容を確認することが必要でしょう。

定期的に見直しをする

ジョブディスクリプションを用いる際の注意点として定期的に見直しをする点が挙げられます。経営方針が大きく変わるまではないにしても、経済状況などによって少しづつ現場の仕事内容には変化がやってきます。この場合に見直しを行っていないとジョブディスクリプションの記載内容と実際の勤務の内容に差異が生じてしまい、社員のモチベーションの低下や社内の生産性の低下につながってしまいます。ですので、定期的に内容を複数人で見直すことが必要でしょう。

まとめ

ジョブディスクリプションを活用し社内業績向上を目指そう

ジョブディスクリプションは未だに日本では用いられていないのが現状ですが、公平な人事評価ができることや仕事の効率性を上げることなど会社の生産性を上げるようなメリットが多くあります。総合職の採用や育成には不向きですが、会社の専門技術を向上させるための専門職の育成と採用にはかなり適したものがジョブディスクリプション。是非、部分的にジョブディスクリプションを取り入れることで会社がさらに発展することを目指してはいかがでしょうか。

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